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フェルメール展開催にあたって 

Dr.アーサー・K・ウイロック・jr

かつて17世紀デルフトでもそうであったように、ヨハネス・フェルメールの作品は今もなお人々を魅了してやみません。その作品の熟達した構図と調和のとれた色彩に酔って、フェルメールは、生地デルフトの一般的なオランダ家庭の静かな片隅で営まれる日常の瞬間を、その瞬間と瞬間の間をとらえているかのようです。天秤の均衡を保とうと手の動きを止める女性、とりとめもなくリュートを調弦する女性、あるいは地図の上で計測をしながら考え事をする男性といったフェルメールの描く人物たちは、その日常的な行為が一見意味しうるよりも、はるかにふかく深遠な思索にふけり心をとらわれているかのように見えます。確かにフェルメールの作品を見ていると、私たちは人間にとって最も基本的な感情と、人間の存在そのものについてしばしば考えさせられます。当時の人々を描いた穏やかな光景のなかに普遍的な人間性を示唆するフェルメールの表現力は、この画家の最も素晴らしい才能の一つであり、また汲めども尽きぬフェルメール芸術の理由でもあるのです。


 
私は、5年前にワシントンとハーグで開催したフェルメール作品の展覧会を企画しました。後世に名を残すようなこの展覧会は、この画家の秀作22点を集め、フェルメールを深く賞賛する大勢の人々が訪れました。これらの作品がそれぞれの所蔵館からめったに貸し出されない事実は、この展覧会の重要性をいっそう強めました。従って、2年前に財団ハタ・ステフティングの秦氏が、フェルメールの代表作を展覧する企画案を持って私の前に現われた時には当然驚きました。しかしながら、私たちは協力し合って、マウリッツハイス所蔵の魅惑的な《真珠の耳飾りの少女》を含むフェルメールの秀作のうちの5点を展示する素晴らしい「フェルメールとその時代展」を実現しました。   


 日蘭交流400周年記念行事の一環として開催される本展は、フェルメールとその時代の偉大な画家たちの作品におけるオランダ社会の公的側面と私的側面を見つめることによって、フェルメールとその時代を讃えるものです。本展ヘの出展絵画は、ヨーロッパとアメリカ合衆国の有名な美術館から貸し出されており、フェルメールによる作品だけでなく、ヘラルト・テル・ボルフ、ピーテル・デ・ホーホ、それにハブリエル・メツゥ、エマニュエル・デ・ウィッテ、また、ヘンドリック・ファン・フリートそしてウィレム・ファン・エールストらの秀作も展覧します。


同時代の画家たちと同様、フェルメールの作品にも、規則正しい生活、神や他人との調和のとれた関係といったものに対する関心が表われています。それが天秤をそっと持ち上げる女性だろうと、こちらを振り返り我々の視線をとらえる少女であろうと。フェルメールの描く美しく穏やかで詩のような光景が、彼の生きていた頃と同じように今も私たちに強く語りかけてくるのは、フェルメールの類まれな才能の賜物なのです。

記念すべき2000年、ヨハネス・フェルメールの奇跡に浸って下さい。

アーサー・K・ウイロック・jr

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